国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、2010年の時点で、不妊に関する検査や治療の経験がある夫婦は実に6組に1組にのぼり、実際に多くの夫婦にとって共通の問題となってきているといっても過言ではありません。
不妊の原因はひとつではありませんが、主だったものの一つとして「卵子の老化」をあげることができます。女性の卵子は、一生分が生まれる前に作られ、加齢にともなって数も減り、質も下がっていきます。もちろん個人差はありますが、日本産科婦人科学会で発表されている調査などによれば、おおむね30歳を過ぎたあたりから妊孕性(にんようせい:妊娠しやすさ)が下がっていくことが明らかになっています。
不妊の治療には大きく分けて、タイミング法、人工授精、生殖補助医療(ART:体外受精、顕微授精など)の3つの方法があります。健康保険の適用が受けられるのは各種検査とタイミング法の一部までで、それ以外は自由診療となりなす。一般的にはタイミング法→人工授精→体外受精と一定スパンで実施し、結果を見ながら徐々に高度な医療に引き上げていく「ステップアップ」という手法がとられることが多いですが、実際には患者さんの状態はひとりひとり様々ですので、適切な診察ととるべき方針の検討が大切となります。